弦に使われる馬の毛の小話
胡弓や馬頭琴、二胡やバイオリンの弦には、馬の尻尾の毛が使われています。
この尻尾の毛にはランクがあって、漂白されたもの、無漂白のもの、長さもいろいろありますが、特に無漂白で変色もしておらずなおかつ長さも長いものが最高級品として高価で取引されます。
漂白されたものは普及品など安いものに使われるわけですが、見た目は似たような雰囲気の両者の決定的な違いは、毛の表面のキューティクルの質にあります。
無漂白の毛の表面は魚のウロコのような形をしているため松脂が乗りやすく取れにくいのに対し、漂白したものはキューティクルが壊れてしまっているため松脂は乗りにくく取れやすくなってしまいます。
これによって何が起こるかと言うと「雑音」です。
均等に松脂の乗った毛は弦の上を滑らかに滑りますが、松脂が乗らない(少ない)毛は表面のザラつきがそのまま弦に伝わってしまい、雑音が発生してしまうのです。
だから無漂白のものの方が高いんですね。
また、最初の写真にあった尻尾の毛の束。
あの毛束で馬一頭分…かと思いきや、実際は一頭分の尻尾にも長さの違いもあれば汚れ具合の違いもあるため、長さや質ごとにより分けて毛束を作るそうです。なので、これだけの太さの毛束を作るには何頭分もの尻尾(毛)が必要なんだそうです。
また、写真では毛が波打っていますが、これは毛を束ねるときに締めていた紐の形がついてしまったもので、実際の毛はストレートです。
毛束のアップ
毛質は固く、弾力があります。
そして余談
とまぁいろんな風に利用される尻尾の毛ですが、素朴な疑問として「尻尾切っちゃったら、その後どうなるの?」と、思いませんか。
ちなみに私は思ったので率直に質問してみたのですが、尻尾は切られてもちゃんと伸びてくるんだそうです。まぁ考えてみれば当たり前なんですが、良かった良かった。生えてこなかったらなんだか悲しいですもんね。でももう一度長くなったらまた切られちゃうんじゃないの?とも思ったのですが、そこはその方では分からないとのことでした。残念。
- サイズ/価格
- 弓にセットする毛は毛束の太さや長さなど、ご希望に合わせて制作可能です。価格はご注文内容により変わりますのでお問い合わせ下さい。
- 毛(弓セット用):9.720円~
一束:(約1kg 長さ:70cm~80cm)4万~10万。